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介護保険料計算の仕組みと算出方法

介護保険料計算の仕組みと算出方法のイメージ写真

公開: 2026-10-09 / 更新: 2026-10-09 ・ 読了 約5分

この記事の要点

  • 40〜64歳の保険料は標準報酬月額に介護保険料率を乗じ労使折半で負担する
  • 40歳到達は誕生日前日と定義され1日生まれは当月給与から控除対象となる
  • 65歳以上は各自治体の所得段階別基準額に応じ年金天引き等で本人が納付する

介護保険料計算の基本と年齢区分による違い

介護保険料計算は、40歳から64歳までの「第2号被保険者」と、65歳以上の「第1号被保険者」で算出ルールや納付方法が大きく異なります。40歳以上の従業員を雇用する介護事業所では、給与計算や社会保険手続きを適切に行うために、双方の仕組みを正しく把握しておく必要があります。

第2号被保険者の保険料は加入している医療保険(健康保険組合、協会けんぽ、国民健康保険など)の算定基準に基づいて決定され、事業主と従業員で折半して負担します。一方、第1号被保険者は各自治体が定める所得段階別の基準額に応じて年額が算出され、年金からの特別徴収または納付書による普通徴収で本人が直接納めます。

制度の前提を押さえたうえで、具体的な算出手順を見ていきましょう。

40歳から64歳(第2号被保険者)の介護保険料計算

40歳から64歳の従業員に関する介護保険料は、毎月の給与計算において健康保険料とあわせて算出します。企業の労務管理において誤算が生じやすい項目であるため、正確な算出ステップを把握することが重要です。

協会けんぽ等における計算式

協会けんぽ(全国健康保険協会)に加入している事業所の場合、毎月の介護保険料額は次の計算式で求めます。

毎月の介護保険料 = 標準報酬月額 × 介護保険料率

介護保険料率は年度ごとに見直しが行われ、おおよそ1.60%から1.82%の範囲内で推移しています。例えば、標準報酬月額が30万円で介護保険料率が1.60%の場合、事業所全体の保険料負担は月額4,800円となります。健康保険法および介護保険法の規定により労使折半となるため、従業員負担分は2,400円、事業主負担分も2,400円です。賞与支給時にも同様に、標準賞与額に介護保険料率を乗じて算出します。

資格取得日と徴収開始月に関する注意点

実務上の留意点は、介護保険第2号被保険者への該当タイミングです。法律上、加齢による資格取得は「40歳に達した日」と規定されており、これは40歳の誕生日の前日を指します。

例えば、4月1日生まれの従業員は3月31日に40歳に達するため、3月分(給与の翌月控除原則では4月支給給与)から徴収を開始します。一方、4月2日生まれの従業員は4月1日に40歳へ達するため、4月分(5月支給給与)からの控除となります。この1日の違いによる控除開始月のずれは管理上の注意が必要です。

第2号被保険者の計算手順を理解した後は、退職後や役員就任時にも関連する第1号被保険者の計算方法を確認します。

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65歳以上(第1号被保険者)の介護保険料計算

65歳以上の第1号被保険者の保険料は、給与からの天引きではなく、本人が居住する各市区町村が計算を行います。介護保険事業計画に基づき3年ごとに見直しが実施され、地域の実情や高齢化率によって金額が設定されます。

自治体ごとの基準額と所得段階別計算

第1号被保険者の保険料は、市区町村ごとに定められた「基準額」に、本人の前年所得や世帯の住民税課税状況に応じた「保険料率(乗率)」を掛けて年額を決定します。

全国の自治体における月額基準額の目安は、おおよそ5,500円から7,500円程度の幅があります。所得段階は通常9段階から15段階前後に細分化されており、生活保護受給者や住民税非課税世帯である第1段階では基準額×0.3〜0.5程度に軽減され、高所得世帯である上位段階では基準額×1.5〜2.5程度に設定される仕組みです。

詳細な所得段階区分や具体的な基準額は自治体の広報やWebサイトで公開されています。制度の詳細は厚生労働省の公式情報をご確認ください。

年金天引きと納付書払いの違い

第1号被保険者の納付方法は、受給している老齢年金や退職年金等の年額によって区分されます。年額18万円以上の年金を受給している場合は原則として年金からの「特別徴収(天引き)」となり、年額18万円未満の場合や年度途中に65歳へ達した直後などは納付書や口座振替による「普通徴収」となります。

こうした算出基準の違いを踏まえ、事業運営において発生しやすい実務上のミスを防ぐ手立てを把握しておきましょう。

事業所実務における失敗例と防止策

労務実務において介護保険料の徴収漏れや計算誤りが発生すると、従業員への遡及精算や事業所側の追加負担が必要になります。よくある失敗例として以下の事例が挙げられます。

誕生日の前日ルール誤認による控除漏れ

代表的な失敗例は、40歳を迎えた従業員の生年月日基準を「誕生日当日」と誤認し、控除開始を1か月遅らせてしまうケースです。特に1日生まれの従業員を抱える事業所で発生しやすく、過去数か月分の保険料をまとめて追徴することになり、従業員の理解を得るのに苦労する事態へ発展します。

防止策として、給与計算システムの生年月日アラートを「満40歳到達の前日」を基準に設定し、人事情報と連携させておく運用が有効です。

65歳到達時の二重控除

従業員が65歳に達したにもかかわらず、健康保険の介護保険料を誤って給与天引きし続けてしまうケースもあります。65歳に達すると第2号被保険者から第1号被保険者へ切り替わるため、健康保険側の介護保険料負担義務はなくなります。市区町村からの普通徴収通知や年金天引きと重複し、二重徴収となってしまうトラブルを防ぐため、65歳到達月の控除終了を管理表などでチェックする体制が必要です。

税務や社会保険の個別具体的な適用判断については、管轄の年金事務所や社会保険労務士などの専門家へ相談することをおすすめします。

実務上の注意点を押さえたうえで、事業所内の制度理解をさらに深めましょう。

まとめと制度理解のポイント

介護保険料の計算は、従業員の年齢と被保険者区分を明確に区別して進めることが基本です。40〜64歳の第2号被保険者は「標準報酬月額×介護保険料率」を労使折半し、65歳以上の第1号被保険者は各自治体の所得段階別基準額によって年額が算定されます。加齢に伴う資格取得・喪失日のルールを周知し、適正な給与計算と労務管理を維持してください。

よくある質問

Q. 従業員が40歳になったとき、いつの給与から介護保険料を控除すればよいですか?
A. 法律上は40歳の誕生日前日に資格を取得します。給与計算で社会保険料を「翌月控除」としている場合、誕生日の前日が属する月の翌月支給給与から控除を開始します。例えば4月1日生まれの方は3月31日資格取得となり、3月分保険料として4月支給給与から差し引きます。
Q. 65歳以上の従業員を雇用している場合、事業主の介護保険料負担はありますか?
A. 65歳以上の方は第1号被保険者となるため、健康保険における介護保険料の労使折半負担は発生しません。本人が居住自治体に直接納付(年金天引きまたは普通徴収)します。ただし、健康保険料本体や厚生年金保険料は引き続き労使折半で負担します。
Q. 介護保険料率は全都道府県で同一ですか?
A. 協会けんぽの介護保険料率は全国一律ですが、年度ごとに見直しが行われます。健康保険組合に加入している場合は、組合ごとの規約により設定された独自の介護保険料率が適用されます。また、65歳以上の第1号被保険者の保険料は自治体ごとに基準額が異なります。
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